Category Archives: Others / Diary

AND THE FRIET – PLAYLIST AUGUST, 2015

atf_blog_aug

今月のプレイリストはこちら:

—————————
1.Ptaki – Kalina
清涼感のある叙情とコンテンポラリーなテクスチャーの混ざり具合(後半のベース!)が素晴らしいポーランド産エレクトロニック・ポップ。
まだiTunesにはありませんが、彼らのデヴュー・アルバム“Przelot”は、2015年のベスト・アルバムの一つであることは間違いない。ちなみにグループ名のPtakiは、ポーランド語で鳥の事だそう。

2.Joakim – On The Beach
夏の裏定番アルバムの一つにNeil Youngの同名アルバム(邦題”渚にて”)がありまして、これはその表題曲のカヴァーなのですが、一聴して全くそう聴こえないところも含めて本質を突いているともいえる名/迷カヴァーなのでは。2015年の夏の虚無、という意味では、Principles of GeomentryによるRemixもおすすめです。

3.Telephones – Hot Destinations For a Cooler You
こちらはNorwayの一人ユニットによる、光が薄く射す、たゆとう波間の音像化でしょうか。ミルフィーユのような繊細なシンセの重層と、凝り過ぎていないリズムのバランスが、いつまでもそこにとどまっていたい、という白昼夢を具現。

4.Beats International – For Spacious Lies (12’Version)
もともとはNorman Cock featuring Lester名義でリリースされた、現Fatboy Slimによる89年作。黒人音楽好きの白人と白人音楽好きの黒人のセンスと才能の融合が現代のマルチ・カルチュアルを先取りしていたというところも含めて、正に”バレアリック”な一曲。歌詞には”あなたの軍隊はお金を求めて戦うけれども、私達は平和を求めて戦う”の他、多数のパンチラインあり。

5.Quincy Jones – Summer In the City
#アルバム”You’ve Got It Bad Girl”より
ある世代のネイティヴ・ニューヨーカーにとって、この曲は夏の風物詩のような曲だそう。様々な音楽的英智と才能、技術が時代性と共に複合的に混じり合った、正に音楽の愉悦を感じさせる一曲。

6.Twin Danger – I Love (Loving You)
SadeのStuart MatthewmanがVanessa Bleyと新しく始めたユニットの同名タイトル・デヴュー・アルバムからの一曲。デヴュー時のSadeの周辺といいますか、Robin Millerプロデュース諸作のピュア・アップグレード版のような趣ですが、やはりジャズではなくてジャジー。アルバムとうして聴くのをおすすめします。

7.Billy Cobham – Heather
最近この曲をスムースなハウストラックにした曲があって、DJの時よくかけていたのですが、Souls of Mischiefの”93’Til Infinity”のサンプル元としても有名ですね。この曲も先のQuincy Jonesの曲のような映像喚起力に優れた音楽的豊穣の海。癒しと高揚の持続的断片展開が素晴らしい。

8.Black – Wonderful Life
酸いも甘いも噛み分けた人生をロマンティックに肯定する80’sバラッドの名曲。友達や家族や恋人と夏の夕暮れや冬の朝方に聴きたい曲リスト、というのがあったら入っていてしかるべき曲のひとつといえるのでは。ところで、EDMはダンストラックの平歌とブレイク部分が逆になっている構造になっていますが、この曲のEDM Remixとかカヴァーが出たら大ヒットしそうですが、絶対にやらないで欲しいです。

9.The Mock Turtles – Can You Dig It
90代初頭にいわゆるセカンド・サマー・オブ・ラブという、イギリス国中を挙げての能天気かつ革命的な音楽ムーブメントがあったのですが、この曲はその時代の雰囲気を象徴するようなムードを持ちつつ、ポップソングとして今でも通用するような普遍的なメロディーと構造を持つ曲といえるのではないでしょうか。

10.Soundstream – Rainmaker
ループ&サンプル・ミュージックのひとつの究極のようなトラック。作業や運動の効率化に最適。

11.Poolside – Next To You
David Hockneyのペインティングを音像化したような光量と明度、裏があるようにもないようにも聴こえるポップのマジックがあるのかないのかさえもわからないさじ加減、全て絶妙な曲。

12.Chris Montez – I Will Wait For You
ミッシェル・ルグラン作”シェルブールの雨傘”挿入曲の英詞カバー。今から約50年前の曲ですが、当時のポップとボサノヴァのハイブリッドは今でも十分通用するアイデアであることを証明するような、ソフトな手触りに反した音楽的強度が素晴らしい曲。

選曲/文:瀧見憲司
Select &Text by Kenji Takimi

AND THE FRIET – PLAYLIST JULY, 2015

atf_blog_july

今月のプレイリストはこちら。
気になる楽曲があれば、右側のiTunesウィジェットにてご試聴ください♪

————–
1.Aztec Camera – Oblivious
#アルバム”High Land ,Hard Rain”より
毎年夏が来る度に聴きたくなる、正しく”君に捧げる青春の風景”を音像化した究極のイギリス産ポップ・ソングのひとつ。季節というより、人生の夏を普遍的に感じさせる躍動と肯定、疾走感に溢れていて気が洗われる。

2.Nicolette Larson – Lotte Love
本人のルックスも含めて70年代後半の西海岸の雰囲気(ロック/ディスコ/レイドバック)が抽出されているNeil Young作名曲。今でもアメリカの日常的なダイナーやコーヒー・ショップでよく流れていますね。

3.Todd Terje – Preben Goes To Acapulco(Prins Thomas Remix)
タイトル通りのラテン・フレイクな原曲を適度なポップ感のあるミッド・テンポ・グルーヴァーに変換したPrins Thomasによるリミックス・ヴァージョン。中庸のテンションの気持ちよさを追究したようなトラック。

4.Miguel – Coffee
2015年最高のラヴ・ソングの一つである事は間違いないネオR&B名曲。歌詞も現代的なディテールに溢れていながら極めて普遍的、かつ滲み出る内股感覚という、ある意味最強の属性を持つ”朝のコーヒー”ソング決定版。

5. Georges Delerue – Camille 
色々な愛の形がありますが、男にとって身につまされる愛の映画、と言えば外す事の出来ない”軽蔑”のサウンドトラックよりメインテーマ。人生はカットバック出来ない、という事を思い知る曲。

6.Retiree – Gundagai
リリース作全てハズレ無しのロンドンの新レーベルRhythm Sectionより、ちょっと異色なオージー4人組。Kindness以降のモダン・ナード・ホワイト・ソウル群の中ではソングライティング&プロダクション・センスが抜きん出ている期待の新人。

7.Ron Basejam – When I Hear That Music
近年のイギリス産モダン・ブギーは、クラブでのウォームアップ時は勿論、通勤やドライブ時に最適なテンションのものが多いように思いますが、このトラックはその好例。嫌いな人がいないタイプというか、さりげない定番メニューのような曲。

8.Fra Lippo Lippi – Come Summer
タイトル通りロマンティックに夏の到来を告げる、80年代ノルウェイ産シンセ・ポップ・デュオによる隠れた名曲。本曲が収録されたアルバム”Songs”はメロウでポップな名曲を多数収録した名盤。 

9.Jaffa Surfa – Doin Hauz
ここ数年ポーランドやルーマニアといった東欧圏から音響的にも構造的にも新しいトラックが多くリリースされていて、この曲は少しファンキーですが、この手のミニマル・ハウスは聴いていると無になれるというか、思考的には研ぎ澄まされていきながら体は動く、という感じになるので運動や単純作業に向いている気がしますね。

10.Pacific Horizons – The Forest Electric(Kenji Takimi & Tomoki Kanda’s Being Borings Remix)
LAベースのサーフ・バレアリック・グループのトラックを、自分のユニットBeing Boringsがリミックス。いわゆるピアノ・ハウスにしていますが、いわゆる”上げ”をひととうり通過した耳に向けた”揺れ”がポイントでしょうか。
https://itunes.apple.com/jp/album/forest-electric-kenji-takimi/id907631674?i=907631727

11.DJ Koze – XTC
止まる事のない永遠の時間の流れを体現しているかのようなDJ Kozeの新曲。繊細だけど線は太く、単調にみえてさりげなく細かい緩急つけまくり、アフターフォローもばっちり、更にその後も、という、正に”わかっている”トラック。

12.Aretha Franklin – I say a Little Prayer
#アルバム”Aretha Now”より
最近この曲の素晴らしいRemixを聴いて感動したので久々に原曲を聴いてみたら、、、溢れ出る曲と声のパワー、歌詞(大きすぎる小さな願い)、演奏、その他いろいろ。やはり理屈を寄せ付けない強度のある音楽の、力のある部分を発見してみるのもいいものです。

選曲/文:瀧見憲司
Select &Text by Kenji Takimi